学問の小部屋

ここは学問の黒板です。

視聴覚室

立体音響

立体音響、サラウンド技術は古くから研究されてきたテーマであり、ごく簡単な仕組みから超大規模なものまで様々なアプローチがある。 簡易サラウンド L信号とR信号の差をとり元信号に付加すると、意外なほど音場が広がる効果がある。実は組み込み機器のエフ…

超低音再生

超低音はスピーカで最も再生しにくい帯域であるが、再生音の迫力感を担う重要な帯域でもある超低音専用のスピーカをサブウーファと言うが、その方式は様々である。ホーン型は高能率であるが、超低音用のホーンは数mのサイズになり、実用性がない。寸法が小さ…

(4)音像定位

音が聞こえてくる方向の感覚を音像定位感、音場感と呼び、モノラル再生による単純音質とは異なる意味で音質を決定する。 スピーカ間距離 ステレオスピーカは、左右の距離を離すことで初めてステレオ効果を得る。定位感は配置によって変化するが、家庭内での…

(3)内部損失

スピーカーの、主に振動板の特性に音質に関わる要素をスピーカー(2)で洗い出した。(3)では、スピーカーにおける振動板の電気特性以外の、箱や振動板の形状や構造、材質による影響について述べる。 点駆動振動板の剛性と内部損失 (2)で説明したよう…

周波数-音圧特性

スピーカ(1)にて、スピーカの能率について整理した。続いてスピーカの音質を決める要素を洗い出していく。やはり、現在最も普及している動電型コーンスピーカを基本として考える。 周波数-音圧特性 スピーカの周波数-音圧特性(以下、周波数特性)は、スピ…

(1)能率

スピーカはオーディオ機器の中で最も重要な部分である。本ページでは、スピーカの性能を音量(能率)と音質(音色)に分けて考え、性能が決まる要因を洗い出す。現在最も普及している動電型コーンスピーカを基本として考える。 音量を決める要素 スピーカに1…

モバイルオーディオ

スマートフォンの普及に従い、モバイル機器で映像、音楽を楽しむユーザーが増えたことで、俄かにモバイルオーディオが盛況である。 音漏れ モバイルオーディオにおいて最も気を配る必要があるのは音漏れである。音質以前に、屋外で音を出す上では周囲への気…

吸音材料

このページでは主に騒音制御、吸音材料について述べる。 遮音と吸音 遮音材は音波のエネルギーが外部に漏れるのを防ぐために使われる。鉛板、コンクリートなど密度が高くがっしりとした素材ほど音波は反射し、透過しない。これを質量則という。音漏れを防ぐ…

ラインケーブル

家庭内ではプレーヤとアンプをアナログ接続する際に使用する程度のラインケーブルは、業務用機器の配線でも欠かせない部品であり、トラブルを防ぎながら運用するためにも正しい知見が必要である。 抵抗 スピーカーケーブルにおいては抵抗値が無視できない重…

スピーカーケーブル

スピーカーケーブルを交換すると音質が変わるというのは、すでにオーディオマニアの中では常識になっているらしい。ヨドバシなどの量販店にもやたら高価なスピーカーケーブルがドラム巻きで切り売りされている。各ケーブルメーカーの能書きには定量性のある…

ピーク・プログラム・メーター

ピーク・プログラム・メーター(peak programme meter、ピークメーター、ピーク計)とは、その名の通り信号のピークを検知し、プログラム入力(連続入力)を表示するメーターである。以下PPメータと呼称する。PPメータは、元々オープンリールなどの録音レベル…

VUメータ

VUメータは信号レベルの変化を針の動きで示す計測機器である。1939年にUSAのベル研究所、CBS、NBCによって、電話回線信号の音量感をモニターするために開発された。VUとはvolume unitの略で、0VU = 1.228V (= +4 dBm)である。VUメータは、内部インピーダンス…

オーディオ機器周辺に関する様々なメーター(計測器)について整理する。 パワー・アウトプット・メータ(ワットメータ) パワーメータは信号出力をワット単位で見る、すなわち電力計である。定インピーダンス負荷であれば、出力電圧を計測し、オームの法則か…

(1)

本ページでは、オーディオ業界におけるニセ科学を取り上げる。 ニセ科学とは、一見科学的なように見えて中身は科学的ではない、むしろオカルトや宗教に属する主張である。有名どころではラジウム温泉、マイナスイオン、ゲーム脳、水素水など、聞き覚えのある…

カーオーディオ

自動車ユーザーにとっては実際にはカーオーディオの選択は新車購入時にオプションとして購入されることが多い上に、カーナビとカーオーディオはほぼ統合されているので、選択の主眼はカーナビである。安全な運転が確保される方が先決であるから、カーナビと…

電流正帰還MFBアンプの製作

電流駆動アンプに記載したように、ヤマハが開発した電流正帰還アンプは帯域の狭いサブウーファーなどにおいて非常に有用である。しかし、ヤマハ製YSTサブウーファのラインナップに使われているのは、最大でも30cm径のウーファユニットである。より大型で高性…

電流駆動アンプ

通常のオーディオ用パワーアンプは、スピーカ負荷の変動に関わらず同じ電圧を出力する定電圧駆動アンプに近い。それに対して、電流駆動アンプと呼ばれる特殊なアンプがある。電流駆動は曖昧に理解されていることが多いようで、正確に理解できるように以下に…

定電圧駆動アンプ

スピーカーを鳴らすために必要な電流を増幅する装置をパワーアンプと呼ぶ。本ページでは、電力増幅、またスピーカを負荷とする際に特有の問題について述べる。 現代のパワーアンプの周波数特性は、可聴域を十分にカバーしており、本来周波数帯域が不足するこ…

信号伝送

かつてオーディオ機器を含めた電機機器はすべてアナログ製品であり、アナログ電子回路技術は非常に重要なファクターであった。 ディジタル信号処理の黎明期には、信号全体をディジタル処理するほどのパワーがなく、表示系やカウンタなどの一部の機能にしか使…

アナログ・イコライザ

音声信号処理の中で、最もオーディオ再生において使用されるのがEQ(イコライザ)である。 主に周波数-振幅特性を補正する機器、機能として使用されるが、もともとはEqualizerという名前の通り、直訳して"等化器"の意味である。オーディオ用途だけでなく、無線…

ディスクプレーヤ

かつて音楽再生の主流であったCDプレーヤは主役の座を降り、すでにディスク再生よりもポータブル、ストリーミング再生の方が主流となった。市民の関心もオーディオより映像、ネットコンテンツに移った。過去にはオーディオ業界が先導したニセ科学的な謳い文…

この一連の記事では、AV(オーディオ・ヴィジュアル)研究について述べる。 kazimaは大学で基礎物理学を専攻し、かつて組み込み音声信号処理のプロとして活動しており、現在も大学で音響物理学を研究する立場である。基礎物理学徒として、音響物理学徒として…