学問の小部屋

ここは学問の黒板です。

オーディオ機器周辺に関する様々なメーター(計測器)について整理する。

パワー・アウトプット・メータ(ワットメータ)

パワーメータは信号出力をワット単位で見る、すなわち電力計である。定インピーダンス負荷であれば、出力電圧を計測し、オームの法則から簡単に電力に換算できるが、スピーカは定インピーダンス負荷でないことがほとんどなので、本来は電圧と電流を両方測定して掛け算した値を指示する必要がある。また、交流信号であるから、負荷にかかる信号電力は刻々と変化するので、何らかの時定数により電力換算信号を積分して表示する。
歴史的には1975年頃からパワーアンプに装飾用針式メータが付属し始めたようである。PPメータのようなアタックタイム100usなどの製品が存在したが、PPメータは観賞用に使用するには動きがせわしないので、より時定数の長い設計に落ち着いてきたようである。正確なパワーメータを実現したとしても、実際の針の動きはVUメータと大差ないが、「パワーアンプ」を名乗る機器の表示には「パワー」を採用すべきという考えから、ごく一部の機器にはパワーメータが採用されている。

パワー・アウトプット・メータ具体例 Mcintosh MPM4000



マッキントッシュブランドのカーオーディオ用メーターユニットである。Mcintosh製品の特徴である"ブルー・アイズ"と呼ばれるパワーメータを自動車の1DINサイズに収めた単体メーターユニットである。黒字に銀線という洗練されたデザインである。(銀地に黒ではBEHRINGERになってしまう)JRCオペアンプが多用されており、実際はMcintoshの親会社のクラリオンが製造していたようである。表示からわかるように、ワット単位のメーターであるが、4Ω負荷に並列に挿入することで正しい表示になる仕様であるから、真のパワーメータではなく電圧を計測して換算しているメータであることがわかる。

スペクトラム・アナライザー

スペアナにはギミック・イルミネーションとしての役割と周波数領域での信号解析の二種類の意味合いがある。ホームオーディオ用では前者として少バンド数のRTA(リアルタイムアナライザ)機能がついていた機材もあったが、時代とともに映像の役割が増し、映像以外の光モノは排除される傾向となり、スペアナ搭載機器は廃れていった。現在は業務用機器の一部やPC上ソフトウェアで実現することが多くなっている。

ウェーブ・モニター

ウェーブ・モニター、波形指示器(示波器)とは音声信号の波形をそのまま表示する機器である。通常、波形を直接見るにはオシロスコープを使う。時間波形の観測は、PC上でのFFT解析が普及した現在も重要な測定法である。機材の電源オンオフによるボツ音の発生、フェードインフェードアウトの時定数の計測などは、時間領域で観測するのが簡便である。

リサジュー・モニター

リサジュー波形のモニターとは、2つの信号を同時に表示してその位相差を見ることができる位相計のことである。2chオシロスコープのXY表示を使用するか、あるいはソフトウェア上でも簡単に表示できる。LR信号の相関が高く、位相が揃っているときは右肩上がりの表示となり、位相が離れているほどに広がった表示となる。