学問の小部屋

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電流正帰還MFBアンプの製作

電流駆動アンプに記載したように、ヤマハが開発した電流正帰還アンプは帯域の狭いサブウーファーなどにおいて非常に有用である。しかし、ヤマハYSTサブウーファのラインナップに使われているのは、最大でも30cm径のウーファユニットである。より大型で高性能なサブウーファの実現を目指し、SR用46cmウーファとICアンプを使用して、自作擬似YSTシステムを構築した。
なお実際のYSTアンプを参考にするために、1989年にASTシステムが初めて世に出たときの無線と実験誌の技術記事を確保した。またYSTサブウーファー(YST-SW105)とYSTアクティブスピーカー(YST-M5)を購入し、内部回路を調査して自分で回路図を起こした。SW105はパワーアンプICのTDA7293を用いた反転アンプで検出抵抗が0.1Ωの設計である。 周波数に応じて正帰還量を変えられる設計になっており、高周波になるほど帰還量が下がるような構成をしていた。YST-M5も規模は小さいながら同様の正帰還MFBアンプの構成であった。

以下にその回路図を示す。本製作の再現は自己責任とする。

スピーカーに流れる電流の検出抵抗R10は0.1Ωに設定する。回路定数が大きいと、正帰還量が多くなりすぎてすぐ発振する。また、電流検出抵抗には大電流が流れるので、できるだけ耐熱性の高いセメント抵抗を用意する。非反転入力への帰還抵抗POT4は、最初は可変抵抗にして大きな抵抗値から少しずつ絞っていき、入力信号が大きくなっても発振しないような定数を見つける。可変抵抗を絞っていくとあるところで発振するので、そこから少し余裕のある抵抗値を測り、後で適切な固定抵抗に変更する。 この定数は使うパワーアンプICとスピーカー、必要とする出力などにより異なる。このアンプは製作の途中で最低一度は発振させる必要があるので、製作には細心の注意を払うこと。