市販CCFL用インバータの性能
2011年の地震以降、ガイガーカウンタを自作する人が増えた。
ガイガーカウンタには10kV程度の高電圧を発生させる仕組みが必要である。市販品のCCFL用インバータは安価かつ高圧(AC)を簡単に発生でき、高圧発生源として有用である。ところが、市販のインバータの性能は千差万別であり、現在のところ情報がまとまっていない。
そこで今回は、秋葉原の部品店で安価に購入できる品物を比較して、より使いやすい製品を洗い出すことにした。
各商品の在庫は必ずしも安定していないものの、ネット通販でも購入可能である。
先行して結果を表にまとめる。
名前 | 取扱店 | 出力電圧[ACVrms] |
---|---|---|
12cmインバータ基板 | 秋月電子通商 | 100 |
小型インバータ | 秋月電子通商 | 120 |
LM12700 | マルツパーツ | 4000 |
YE-34VN | 若松通商 | 3700 |
測定条件:
インバータに供給する電源はDC12Vとする。
インバータのAC出力を多摩電気製超高圧対応GS抵抗1GΩ3W品を介して入力インピーダンス10MΩのテスターでAC電圧を測定する。
CCFL用インバータのような電流容量の低い電源は、負荷インピーダンスによって出力電圧が大きく変わる。1GΩ負荷が必ずしも十分軽い負荷と呼べない場合は、さらに1GΩ抵抗を一個直列に追加して、2GΩ負荷での値も記録した。
- 秋月電子通商 「青色発光冷陰極管(12cm)インバーター基板セット」http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-03556/
出力100V程度、大きさの割に出力が低い。
出力120V程度、負荷を重くしすぎると簡単にレギュレータが焼損するので注意すべし。残念ながら終売した。
本製品は
http://www.geocities.jp/snj_rose/inverter.html
にも詳しいレポートがある。
- マルツパーツ 「【LM12700+I26-700W】70cm 冷陰極管インバーターセット」http://www.marutsu.co.jp/shohin_69614/
CCFLを点灯させるには、長さが長いほど高圧が必要である。
本製品は市販のCCFLの中でも特に長い製品であり、高出力が期待できる。
予想通り、出力は1GΩ負荷で4000Vrmsと超高出力であった。
負荷の状態によっては、インバータが若干のコイル鳴きを起こしていた。
- 若松通商 「YE-34VN 放電灯付きインバーター」http://www.wakamatsu-net.com/cgibin/biz/pageshousai.cgi?code=67040001&CATE=6704
販売サイトに実測した電圧値が表示されている。大きさは秋月の製品とよく似ているものの、出力電圧は段違いであった。
1GΩ負荷にて3700Vの出力が得られた。
以上から、基本的に長いインバータを想定して作られている製品ほど出力電圧が高いことがわかる。後段でコッククロフト昇圧回路を利用するなどで高圧DCを取り出す場合にも、元のインバータの出力が高いほど段数を減らすことができる。ただし、一段あたりの部品の耐圧はAC出力電圧の2倍を見込む必要がある。例えば市販の高耐圧ダイオードIN4007の耐圧は1kVなので、10本直列にするなどの工夫が必要である。
高圧を扱う実験は大変な危険を伴う。読者各位は危険性と理屈をよく理解した上で、自己責任で実験に臨むことが必要である。
本記事は、より高性能な入手性の高いインバータが見つかったら適宜更新することにする。