学問の小部屋

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鼻の手術 1

kazimaは現在、慢性副鼻腔炎蓄膿症)の治療のために手術を含めた治療中である。
kazimaの蓄膿症が発覚したのは、花粉症の治療のために耳鼻科に行った際に鼻中隔湾曲症を指摘され、鼻中隔湾曲症の状態を見るために頭部CT画像を取ったときである。蓄膿症の手術といっても、実際には鼻中隔湾曲症、肥厚性鼻炎、慢性副鼻腔炎の三つを一度に治療する手術を受けた。鼻中隔の湾曲は10年も前に把握していたが、耳鼻科医が診察して「ひどい曲がり」と評するレベルと知ったのは、内視鏡とCTで曲がりを直視してからであった。左の鼻の奥がほとんど空いておらずもともと詰まりやすい状況ではあったが、今年の花粉症の時期に睡眠中に鼻詰まりがひどくなりすぎ、酸欠が原因とおぼしき頭痛が出たのが、手術を受けようと決意したきっかけである。
蓄膿の手術レポートはネット上に散見されるが、その治療方法は患部のの状態、ドクターの処方によって変わるので、一概にどのレポートを参考にすればよいというものはない。ただ、最新の手術に対して患者自身ができること、処方の意味合いについて記すことで、これから手術を受ける読者の苦痛緩和、ストレス低減の一助となれば喜ばしい。本稿では、自分自身の体験を踏まえて、やっておいた方がよいことを時系列順に記していく。

入院前

まず自宅の部屋の掃除をしよう。清掃はストレス発散となり、また退院後に自宅で過ごすときに吸い込むハウスダストを低減する。
蓄膿の手術は、外科的手術の中ではかなり軽い部類に入るので、人によって全身麻酔に対して身構える以外にはそれほどの準備はいらず、付き添いの家族のスケジュールなどをしっかり決めておけば、それほどやることはない。
着替えやタオルなどは、入院中に購入するなどでなんとでもなるので、むしろ身体を清潔に保つことに注意する方がよい。術後生活では鼻に綿球を詰めてしばらく過ごす必要があるので、外に出る際はマスクをすることになる。清潔の観点からも、散髪をしておくとよい。退院後数週間は、外でマスクを外せないからである。
また、健康保険組合に連絡して、医療費の限度額適用認定証を取得するのを忘れないようにする。術中

入院日(手術前日)

日帰り手術を選択するのでなければ、蓄膿の手術は全身麻酔を要するので、前日に入院して麻酔科医の説明を聞き、麻酔同意書にサインをする必要がある。前日は自由に院内を動き回れるので、病棟のレイアウトやトイレ、食堂、売店、ATM、ナースステーションなどの位置をしっかり把握しておくとよい。
手術前日は最も身体が元気な日であるから、病床の環境を整えることと、睡眠をしっかりとることに集中するとよい。術中の嘔吐を防げるよう、手術日の朝あるいは前日夜から絶食になるが、経口補水液(OS-1)を購入して、成人ならば500mlを3本まで飲んでおくように指示を受ける。これには、脱水症状を防ぐ重要な意味があるので、できるだけすべて飲み切れるようにする。OS-1の味は、ポカリスエットを倍に薄めたような感じである。

手術日朝〜手術

蓄膿手術は部分麻酔による日帰りを選択できる場合もあるが、kazimaが受けたような規模が大きい施術の場合は全身麻酔となり、合計一週間ほど入院するのが一般的のようである。
可能であれば、朝のうちに病院内でシャワーを浴びて可能な限り身体を清潔にしておこう。(当日のシャワーが許可されないときは、前日のシャワーのあとなるべく汗をかかないようにする)必要があれば直前にトイレに行くように指示される。
手術直前は不安により緊張するが、全身麻酔に対しては抵抗しようもないので、深呼吸して力を抜く。kazimaの場合は、全身麻酔と筋弛緩剤の処方により全身が痺れる感じがしてすぐに意識がなくなるので、手術中の記憶はない。
手術中は、筋弛緩剤の影響により自発呼吸がなくなるので、人工呼吸器を挿管する。気管にチューブが入ると聞くと起きた途端吐き気を催すようにも感じるが、実際には麻酔の影響によりぼんやり意識を回復した段階でチューブを抜かれても、特に吐き気はなかった。抜管直後は声がかすれてうまく喋れないことが多いようである。酸素マスクをつけた状態で目が覚めるが、意識を回復した直後はかなり喉に唾液がたまるので、まずそれを吐き出させてもらった。

手術日夜

点滴と酸素マスクをつけたまま病床に運ばれるが、手術直後は最も麻酔が効いているので、鼻の痛みはない。この段階では、止血と麻酔のために鼻にガーゼがぎゅうぎゅうに詰められているので、鼻呼吸ができずかなりの圧迫感がある。口呼吸をするにも、止血しきれなかった血が喉の方に垂れてきて血痰として溜まるので、数分に一回は酸素マスクを外して吐き出す必要がある。このとき、血痰を飲み込んでしまうと余計気分が悪くなるので、付き添いの介助者に血痰をティッシュに吐き出すのを手伝ってもらうようにする。両手は動くが、起き上がって自分でティッシュを取れるほどの余裕はないので、介助者は必須である。このときのために、新品のティッシュを2箱と濡れタオルを用意しておく。
また、尿管カテーテルも入ったまま病床に戻ることになり、術後1時間ほどしてから抜管する。管が入っているとそれだけで尿意があり気持ち悪いが、これは仕方ないようである。術後発熱がある中で尿意があるときわめて不快であるが、この一時間を乗り切るとそのあとはかなり楽である。カテーテルを抜くときは先端の皮膚に擦過傷がつくのか多少の痛みがある。その後数回の排尿において、尿道から空気がぶくぶくと出たり、痛みが生じるが、鼻呼吸ができないストレスに比べると大したことはない。排尿時の痛みは翌日には収まった。
術後一時間を経過すると、麻酔が切れてくることで、鼻全体が腫れ上がりジンジンといった痛みが生じてくる。ナースコールで痛み止めを依頼すると点滴で入れてくれるが、点滴の痛み止めはすべて落ち切って錠剤一個分と同じ効果と考えるべきなので、ひどく痛み始めてから入れ始めると効果が出るのが遅い。よって、なんとなく痛みが出てきたかと感じ始めたくらいのタイミングで依頼するとよい。幸いにして、kazimaの場合はこのときの痛み止めのあとは、特に痛み止めを処方しなくても十分耐えられたので、その後痛み止めは使用しなかった。
当日の夜は鼻から喉に出血が垂れてくるので、可能ならばベッドの上側を少し持ち上げて頭が上がるようにした方が楽になる。

痛みが安定してくると、今度は尿意が強くなってくる。一般に鼻が使えない以外の身体は元気なので、点滴を押しながら自力でトイレに行くことになったが、不安なときはナースコールで介助をお願いする。
手術日の夜は、鼻呼吸できないことで口内が乾燥してそうそう眠れるものでもないので、うつらうつらとしながら一時間に一度は起き、血痰を吐いてトイレに行くのを繰り返した。

手術翌日以降については、次回の記事で記述する。