学問の小部屋

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工作技術の基礎2

以前、工作技術の基礎として孔あけの方法を紹介した。
今回はヤスリがけについて述べる。
切断だけでは寸法を合わせにくいとき、あるいは面取りするときにはヤスリがけが必須である。ヤスリがけの方法は、鋸挽きなどと違って講習を受けることが少なく、間違った方法でとりかかってしまうことがよくある。
最も間違いやすいのは、とにかく削ればよいと思ってゴシゴシとたわしのように擦ってしまうことである。棒ヤスリはゴシゴシ擦るための構造をしておらず、このような方法は非常に非効率的である。
うまくヤスリをかける方法を説明する。

  • 最初に、削る面を水平にしてバイスで工作物をしっかり固定する。

固定が甘いとうまく力がかからないため、工作物を無理に変形させるなどの弊害を生じる。

  • 削るときは、最初は粗目で重量のある大きい棒ヤスリを両手で構え、一回の往復に身全体を使い長いストロークでかける。

ここでゴシゴシやってしまうと時間がかかるだけでろくに削れない。ヤスリがけは高速で往復させるのではなく、長いヤスリ身の一回の引きでしっかりと削りとる。意識をヤスリ身に集中して引くと、自然とゴシゴシやろうとはしなくなる。

  • 仕上げは目の細かい小さいヤスリを使用する。

ここまでくるとゴシゴシやってしまうのもある程度は仕方ないが、力を入れて削りとる必要があるほど削り残しているならば、粗目のヤスリの出番が残っていることを意味する。

ヤスリがけの方法を一度マスターすると、金属工作はかなり楽しくなる。実際、自作回路のケース工作で最も面倒なのは、孔あけの後のヤスリがけやバリ取りである。粗目の棒ヤスリを使いこなせるようになればこの工程を楽しめるようになり、仕上がりもよくなる。そのためには、まずは棒ヤスリとバイスを入手するのがよい。

このように、鹿島勇は黒板に機械工作・電子工作などについて記載することが多い。しかし、大学の専門は素粒子原子核理論であり、現在の担当業務はディジタル音声信号処理である。別に機械工作ばっかりやっているわけではないので、あしからず。