学問の小部屋

ここは学問の黒板です。

直視モニタの行末

鹿島勇は現在テレビを作っている。しかし、もちろん現場の話は書くわけにはいかない。
今回は現場でやっていることではなく、少し未来のお話。
現在家電量販店などで3D対応TVが出始めており、それなりに話題になっている(売れているかはともかく)
3Dとは言うまでもなくthree dimension、三次元のことで、左右情報、上下情報の他に前後情報の三種類を提示する。世間では飛び出すTVとして認知されているが、これは厳密には正しくない。
この三次元映像は、元々人間の目が左右にふたつついていて視差情報を元に前後感を感じているものを、実際に二眼レンズで撮影して左右の目に別々の映像を与えることで立体感、すなわち飛び出す感覚を与えるものである。
それでは三次元化すれば固定点での映像再現という意味で完備なのかといえば、そうではない。仮にSD画質で三次元化しても、それはどう見ても作られた映像にしか見えず、とても完備とは言えない。それは画面奥向きへの「奥行き感」が足りないからである。これを補うためには解像度を上げることが必要となる。SD画質に比べてHD画質が純粋に優れているのは、画素数が増えたことによる奥行き感の拡大にある。高解像度の映像による奥行き感の拡大を実感するには、HD画質の映像を縮小して再生してみるとよい。

このように、画面までの距離より奥側は高解像度化が対応し、手前側は3D化が対応することで、映像再現としては完備となる。本来はどちらが欠けてもダメであるが、今になってようやく片方が市民の手に届きそうになってきており、今後も直視モニタの技術動向は注目を集めるであろう。

SDからHDへの高解像度化は確かに革命的ではあった。その次の段階は4k2kパネル化が想定されているものの、残念ながら4k2kパネルはまだまだ高価であり、まだ市民の手には届きそうにない。さらにその先にはスーパーハイビジョンという8k4k解像度が定義されていて、20年後程度を目処にNHKで実験放送が行われる予定である。これらのスペックを引き出すためには現行の処理系では全然追いつかず、放送側でも設備を一新しなければならない。そのため普及には困難がつきまとうが、それ自体はHD化でも一緒である。

4k2kパネルが一般向けに販売されるとすればPC用モニタの方が先と考えられる。鹿島勇は4k2k相当のIBM T221を入手して使用しており、フル解像度モードでのドットの細かさは驚異的ではあるものの、22インチモニタではアイコンが小さすぎて常用するには厳しい。4k2kをPC用モニタにするためには、本来は40インチくらいのサイズが適切であり、映像を見るときだけ少し離れて使うくらいがちょうどよく、TVとPCモニタがいよいよ一体化してくることになる。
高解像度化すればそれだけ色々な問題も出てくるが、それは詳細な解説サイトも色々あるので今回は割愛する。