学問の小部屋

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いい人とは何か

世の中には「いい人」と呼ばれる人がいる。今回はこのような人の一体何がいいのかについて考える。
いい人といえば人柄がいい人、親切な人、優しい人などを想像することが多い。率先して人の嫌がることをしてくれたり、知らないことを教えてくれたり、物を貸してくれたり、ミスをしても怒らなかったりするとあの人はいい人だ、と言われる。
しかし、それだけであろうか。例えば普段の行動に問題が多いがなかなか叱れない相手にはっきりと注意してくれる人もいい人であろうし、食事をおごってくれる人も「いい人」であろう。我々はこのような人を漠然と「いい人」と一括りにしてしまうが、実際のところはその内容は様々である。行動が様々でも一括りにするからには何かが「良い」のであり、落ち着いて考えると何が「良い」のかがわかる。普段の行動で「いい人」には寄っていくことが多い。反対に自分自身が「いい人」になりたいと思うことはあまりない。
すなわち、「いい人」とは自分にとって都合のいい人」の省略形である。このように書くとあんまりだと思うことも多いであろう。しかし、それ以外の言葉で端的に表現することができるだろうか。
さらに言えば、誰かを「いい人」と評しているということはその人を都合よく利用しているという自覚を持つことで、その人のありがたみを実感することができる。きっかけは「いい人」であっても、それは感謝の心を知るチャンスでもあるのである。