学問の小部屋

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天ぷらそばの一般論・第二章

今までいくつかの観点で天そばについて論じてきた。そして新章の到来である。

今回は生そばを自宅で茹でるときにどうすればうまく茹でられるかを考える。
元々そばというものは鹹水を使わないので、ラーメンのような弾力がない。
うっかり茹ですぎるとヘナヘナになってしまい、歯ざわりが悪い。市販の安い茹でそばはコレを嫌うのでつなぎの小麦粉の量が多く、ほとんどうどんと大差ない上に所栓は一度茹でたそばなのでやはり弾力がない。
よって品質を求めるならば店売りのそばであってもせめて生のそばを選ぶべきである。別にそうそう高いものでもない。
さてこの生のそばを茹でる段において、茹で時間の管理はなかなかに難しく、多くの場合そば本来のムチムチした食感が出すぎてしまいムチムチがネチネチになってしまう。
これは、茹でる湯の量がそばの量に対して少なすぎるときに起こる。そばがネチネチする場合はなべを大きくして湯量を増やすとよい。
また、そばは本来ラーメンのような歯ごたえを味わうものというよりは、そば粉の風味とムチムチした食感を味わうものであるから、あまり歯ごたえを求めるのは正しくはない。しかし、現代人の感覚ではそばはラーメン、スパゲッティに類するものと認識されてしまうので、現在はそばにも歯ごたえが求められる。
日本そばで唯一弾力を得られる食べ方は、茹で時間を短めにして硬さを残し、それを一気に水で締めてざるそばにした場合であろう。(ふのりをつなぎに使ったへぎそばはかなり弾力がある)
かけそばに弾力を求めるのはあまり意味がないとしても、たっぷりの湯を使って粉をしっかり落とし、茹で時間を少し短めにしてやることで多少の弾力を残すことができる。また、以前論じたように天ぷらを入れることで油がそばの表面をコーティングして、ラーメンに近い食べ方が可能となる。本質的にそばに弾力を持たせるには、へぎそばのようにつなぎを工夫するしかないであろう。次回はざるそばについて論じてみよう。

なお、鹿島勇はかけそばはほとんど食べなく、うどんばかりである。ざるにするとそばの方が夏らしくて好きなので、これは食べることも多い。