学問の小部屋

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SSDの速度とSATA

昨今話題のSSDは、単体でも高速である以上にRAID1による速度向上の恩恵を受けやすい。
HDDの場合はヘッドの動きにメカニック的な同期を取らないといけないのに対して、SSDの場合は電気信号の同期だけなのではるかに簡単であり、何段もストライピングを重ねてもあまり問題が生じない。HDDで信号波形のジッター等の問題が生じるのは磁気記録素子の分布に依存しており、フラッシュメモリでは無縁の世界である。(つまり、根本的には空気の透磁率が結構大きいのが原因)
SSDではメカクラッシュがないので、RAIDが崩れる危険性も少ない。

ということは、外見では単品のSSDに見えて内部でRAID構造にすることが容易であり、簡単に速度を稼ぐことができることになる。実際にそのような製品が存在し、超高速のベンチマークを叩き出している。
SSDの内部RAIDは手放しに喜べる技術であるが、一点だけその進歩のネックとなる部分が存在する。
それは内部でいくら速度を上げてもインターフェースの規格上限以上では転送できないことである。
この対策のためには結局インターフェース部でもRAIDを組む(ひとつのSSDにケーブルを複数挿す)
か、規格をバージョンアップするしかない。

現在の規格はSATA2(3.0Gbps)であるから、SSDの進歩を考えると10倍の30Gbpsくらいの規格が必要になると思われる。現在の規格でもPCIexpressを使えば帯域の問題はないので、現状で内部RAIDを活かした構成をつくるには、PCIe接続の専用RAIDカード+複数コネクタつきのSSDというなんともみっともない構造となってしまうから、やはりここは新しいSATAあるいはUSB3.0のような規格ですっきりまとめるべきであろう。
モリーが記録媒体の主役になってから、規格と実力のいたちごっこが続いている。ブルーレイは25GGB,50GBという容量であり、おそらく2年後くらいにはSDカードでもその程度の容量は簡単に手に入って、DVDやブルーレイはもうその役割を終えてしまうかもしれない。

近い将来に媒体として残りそうなのは、紙、アーカイブ用磁気テープ(単価が安く堅牢)、CD-ROM(あまりにも普及しているのでドライバ提供等に使われる、あとは音楽CD)と進化し続けるフラッシュメモリであろう。
民生では、記録データは容量の少ない順に文字、画像、ソフトウェア、音声、映像くらいであるが、通常ソフトウェアまでは1GB程度までのメディアに十分収まる容量でしかない。
よってSDカードのような小型小容量のROMと大容量のSSDの2種類に分化していくと予想している。

いまやVHSデッキに誰も注目しないように、現在CD/DVDが普及していることはどうでもよく(第一USBが普及した今となってはUSBメモリの方が使いやすい)、メカ的なクラッシュがなくなってただ容量と速度のみを気にすればよい時代となれば、現在の様々な記録メディアに関する問題が一気に解決するだろう…と、HDD設計の立場からそう思う。