学問の小部屋

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極小騒音HTPC設計

最近PCを更新した。
以前使用していたAntec SOLO + Athlon64 X2 4400+ + 忍者ファンレスという構成は十分静かで性能も悪くはなかった。
その後、地デジ対応やHDD容量の問題が出てきたために、今回は更なる静穏化、省エネ低発熱を狙って改めてPCを設計することとした。

今回のコンセプトは極力省エネでコンパクトかつ騒音を抑制した構成をめざすということである。
そのため、ブートドライブにSSDを採用して電源もACアダプタを利用することを考えた。
(過程は紆余曲折あったが、メインフレームは納得できる解に落ち着いた)
このようにすると、自然とHTPCとしても使える構成となる。

まず大切なことは消費電力がACアダプタの上限120W以下であることを確かめることである。
よってサンワサプライ製「ワットチェッカー」を購入し、リアルタイムの消費電力を測りながらピーク時にも上限を超えないことを確認する必要がある。
鹿島勇の用途ではATXマザーボードをフルに使うことはないため、microATXを採用する。PCI-e x16がひとつ、PCIスロットは最低2つ必要であるため、mini-ITXではNGである。

ケースはInWin IW-BK623という小型ケースである。
microATXが入り、フルハイトPCIが使えるケースとしてはおそらく現在最もコンパクトなものである。最大の特徴は奥行きが極端に短いことで、ほとんどマザーボードの幅くらいしかない。
残念なのは、見た目のバランスが悪く縦置きすると格好悪いことである。
現在は横置きにしてなんとか誤魔化している。
電源や5インチベイを外すとフレームが弱く不安定のため、その点でも横置きのほうがよい。

CPUはatomも考えたもののやはり性能不足なので、AMDの省電力モデル AthlonX2 5050e TDP45W を採用した。
ケースの大きさに合わせてCPUクーラーはScythe SHURIKEN (SCSK-1000) 手裏剣 を採用したが、光学ドライブを排除するともっと大きいものを入れることは可能である。(例えば忍者mini)
CrystalCPUIDを使い、クロックと電圧を動的に制御する。
(low x5,0.8V mid x9 0.875V high x13 1.125V)

ファンは付属の10cmファンでは回転数が高く騒音が大きいため、KAZE-ZYU SLIM 1000rpmに交換している。これはその後光学ドライブを排除したことで背の高いKAZE-ZYUに交換予定。

マザーボードは、ファンレスかつオンボードVGA(保険)がついていれば基本的にはよい。
安価で機能は十分のFoxconn A7GM-Sを採用した。
AMD 780Gが搭載されているため、通常使用ではオンボードで十分であるが地デジ視聴時のCPU負荷を低減するためにはローエンドGPUは独立させたほうがよく、オンボードはオフとする。

メモリは少しでも高速化するならデュアルチャンネル構成にするためにDDR2-800 2GBx2 とする。

ブートドライブはSSDとする。OSを入れて軽い作業をするだけなら32GBもあれば十分なので、恵安 K-SSD32S-VSMを採用した。
データドライブはさすがにまだHDDが必要である。現状ではHGSTのGLA360を2台所有している(一台は休眠中)が、Seagateの1.5TBモデルにまとめる予定である。
データドライブは休止時に電源offにしておく。

光学ドライブは実際出番が少なく、内蔵しなければCPU周りが広くなるため現在取り外し中である。最近話題のBD-ROMドライブUJ-120をUSB外付で導入予定。

サウンドカードはE-MU 1616m CardbusをPCIスロットに変換ボードで接続しているため、庫内の影響は基本的に受けない。

電源は、付属電源もSFX電源にしては相当静かな方ではあったものの、究極の静穏性を求めてACアダプタとした。DC-DCコンバータ PICO-PSU 120Wを導入することは決定したが、ACアダプタは都合のよいものがすぐには見つからなかった。
最終的にDELL ADP-150BB B 12V 12.5A を改造して1系統のDC12V電源とし、外付けとすることになった。分解して内蔵することも不可能ではない。

地デジチューナーとしてSKNET MonsterTV HDUSを導入した。しかし、これはCPU負荷が高くGBを導入しても改善が見られないため、いずれ別の機器に交換予定である。

以上のような構成で組み立ててみると、光学ドライブを排除した効果で庫内は相当広く感じている。電源部も空っぽなので、ここまで小型なのにまだ無駄な部分があるように感じる。
これ以上サイズダウンをするとmini-ITXケースしかないため候補がない。


さて使い勝手としては、アイドル時の消費電力は50Wを下回っており、HDDが回らないことから騒音源はCPUファンのみ、10cmファンで1000rpmでは50cmほど離れると音は聞こえない。
フルロード時には消費電力が80W程度まで上がるものの、十分余裕がある。問題なのは発熱で、長時間地デジを視聴するとCPU温度が80℃を超えるため注意が必要であった。
これはHDUSのせいなので、より低負荷のボードを使えばある程度解決するはずである。

これは回転数が低すぎて排気口が遠いために排熱がうまくできていないからのようである。対策としてはヒートシンク交換、最低でもファンを厚く大型のものに替えるべきであろう。
騒音はフルロード時でもCPUファンとHDD一台のみなので大したことはない。

HTPCにとって最も邪魔なのはHDDとCPUファンの騒音である。
いずれSSDだけで片付くようになればこの部分の騒音は0にできる。
よって最終的な問題はCPUファンの騒音と排熱、ケースの大きさの問題を解決することである。
もう一回り高性能なCPUがTDP45Wで出てくるようになれば以上の構成でオンボードでもほぼ必要十分なHTPCとなる。

あと2年もすれば、ハイビジョンを再生しながらのマルチタスクでも楽々の省エネPCが構築できると思われる。その頃にはHDD、巨大ヒートシンクを排した更なる省スペースの構成でも十分となっているかもしれない。

3Dゲーム等は要求スペックがどんどん上がっているために2年程度では現在と構図は一緒であろう。そうでない場合はほぼ十分なスペックかつ無音にできる時代がすぐそこまで来ている。