学問の小部屋

ここは学問の黒板です。

まるっきり愚痴

世の中には応用物理を物理と勘違いしている人がいる。
応用物理は工学であり、基礎物理は理学である。応用物理しか知らない人に物理は云々と言われると基礎物理の人間としては非常に困る。
また、世の中には量子力学のことを最先端の物理と考える人が多い。量子力学と相対論は確かに現代物理の範疇に入るとはいえ、普通の意味での量子力学はもはや完成された理論であり、最先端とは言い難い。
もちろん、力学、解析力学電磁気学量子力学、熱統計力学、弾性体・流体力学、相対論の基礎七分野でも研究の余地はある。だからといって量子力学といえば最先端ナノダと考えるのは、物理の研究現場とは相当意識が違う。量子力学が最先端ならば力学も最先端である。
どういうわけか、世の中は自分の知らない世界のことを勝手に美化したり価値を持たせたりすることが多い。理解されにくい量子力学や「物理」や「科学」という名前を有り難がってしまうのは、仕方ないと思いつつも改善の余地はあるのではなかろうか。
物理でないことを物理云々という場面を見かけると、どのへんが物理なんですか、と真面目に聞いてみるのがよさそうである。