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今回のトピックは、書くか書くまいか迷った内容なのです。
料理というものは音と同じく主観による評価がメインとなり、実際のところ音よりも主観性が高く客観的な評価を下すことなど不可能なジャンルです。
その中で敢えてこうしてレポートを書くのは、ひとえによいラーメン店が増えてほしいという希求であり、情報に左右されやすい大衆に一石を投じるものであります。
鹿島勇は現在、大阪北摂に住んでいるためその周辺(行ける範囲)のレポートとなります。
さて、学問の黒板でラーメンレポートを書く上で、いくつかの約束事を決めましょう。公理系のはっきりしていない議論など意味を持ちません。
- 店の評価は、ラーメン本体の味とそれ以外の要素を優、良、可、不可の4段階で評価し、場合によってその他の要素を付け加えることとする。特に、チャーハンを食べた店についてはこちらのレポートも重要となるため、合わせて綴ることとする。
- 主観のレポートの粋を出ることはあり得ないが、できるだけ詳しく、また客観的に評価できる用語を用いて綴ることとする。例えば、適当な評価ではよくある「微妙」といった表現は使わない。よい、悪いだけでなく、何がよくて何が悪いのかをはっきりと示すことに努める。
- 昨今の情報化社会の影響により、「らーめん発見伝」の台詞を引用するならば、「客はラーメンを食っているんじゃない、情報を食っているんだ」という状況がしばしば見受けられる。雑誌などに踊らされて本当においしいラーメンかどうか判断できず、他人の判断によって「これはうまいラーメンに違いない」といった判断を下している大衆に一石を投じるため、ラーメン店そのものの情報は収集しながら活動を行うにしても主観的味の評価(特にうまい、の一言だけなど)はあまり信用しない。
- また、下宿学生にとって食料の値段というものは生死を左右する重要なファクターであり、コストパフォーマンスの高さという点は非常に重要になってくる。よってラーメンの評価にはこの点も多分に加味されることとなる。一杯1300円のラーメンは評価しないだろう。
- 以上を考慮してもここに綴る内容は主観的レポートにしか過ぎず、個人の嗜好は千差万別であるため、辛い味が好きな者、甘党の者、塩辛ければそれでよい者など判断基準はまちまちである。鹿島勇の味覚では、単に塩辛いだけでパンチを効かせた味や、脂を多用して濃厚さを演出しているだけのラーメンは評価しない。むしろ、ラーメンを前にしたときの匂い、スープを頂く一口目の印象に、単純でなく複雑に味が絡み合ってそれでいてひとつの味としてまとまっているようなラーメンに好印象を抱いている。くれぐれも、そういった味わいに興味がなく、情報を食べたい読者各位には、このレポートは参考にして頂かないように願いたい。
では、早速はじめよう・・・。
一軒目、○○大学豊中キャンパス福利厚生棟1F カフェテリア「宙」(そら)こちらのラーメンは学生食堂らしく240円である。コストパフォーマンスだけで語るのも能がないので、内容を詳しく綴ってみよう。
麺は、スーパーで売っている袋入りの生麺とほぼ一緒である。若干それよりはコシがあり、当然うまいとは言えるべくもないが値段を考えると悪いわけでもない。特に毎日のように利用する学食であるから、時々食べてもいいかなという感じ。少し量が少ないのは値段を反映してか、仕方なかろう。チャーハンも売っていて、こちらは油を炊飯器に入れて炊いて作るいわばピラフ式の製法を取っているのか、当然炒めたてではなく油が少なくて日本式の混ぜご飯の粋を出ない。多くの場合冷めてしまっているので、うまいわけはない。腹を膨らませるためにラーメンとセットで頼めば・・・いや、やめておこう。
この食堂、できてからまだ一年しか経っておらず内装はきれいで、店としてはとてもいい雰囲気をしていると思う。160円の掻き揚げうどん(そば)がなくなってしまって、240円のジャンボ掻き揚げうどんとして復活したのは非常に残念だった。
店:優
ラーメン:良
チャーハン:不可
二軒目、「天下一品」石橋店
関西のチェーン店として有名な天下一品の石橋支店である。次に京都北白川の本店について書く。まず支店から。
この店、場所柄もあり学生の客も多いのだろう。内装はきれいとは言えず、少し建物が古い。それでも中央の資本が入っている以上はそれなりのレベルを維持しているようだ。
天下一品といえば非常に濃厚なこってりラーメンと、対極的なあっさりラーメンである。まず、あっさりラーメン。天下一品の最大の売りの野菜煮込みこってりスープを味わえないラーメンである。確かにあっさりとはしている・・・が、それだけで全然味がしない。単なる醤油ラーメンとして考えても、特に魅力的な風味があるわけでもなく、何か抜けた(要は本来のスープから濃厚さが抜け落ちている)味で、たのむ価値はないだろう。
本命のこってりラーメンは、単にこってりしているだけでは当然うまいわけがないので、そこに含まれている野菜や叉焼のうまみが命となる。これは及第点で、確かに人を選ぶラーメンではあるが一応の評価を下すことができよう。値段が多少高いのはやや不満。
店:可
ラーメン:良
三件目、「天下一品」京都北白川本店
大海原航に誘われてふらふらと京都本店まで行ってきた。この店、大量にチェーン店を抱えているからにはさぞかし立派な本店なのかと思いきや、意外と小さい店舗で実際石橋店よりも規模は小さく、横長カウンターの店だった。
石橋店との味の違いは小さい。ほんの少し風味が増しているようにも思うが、これは本店で食べるという心理効果が多分に効いてくるので信用できる感覚ではない。ここはむしろ、天下一品フリークのメッカとしての役割が高いのだろう。
店:可
ラーメン:良
四件目、「天下一品」大阪福島店
またもや天下一品である。チェーン店の味の分布を見ておくのも重要だろうということで、ザ・シンフォニーホールで行われた大阪センチュリー交響楽団の定期公演の帰りに寄ってみたのだ。
・・・この店、内装は天下一品としては普通のレベルなのだろう。故に可を与える。しかし、どういうわけかラーメンがまずい。当然こってりラーメンを頼んだところ、出てきたラーメンはコテコテしているだけで全く味がない。(本当に味が全くない)モゴモゴ麺を食んでいても仕方ないので、テーブルにおいてあった「ラーメンたれ」を思い切ってぐるぐると回しかけ、麺だけを頂いてそそくさと帰ってきてしまった。せっかくコンサートのあとで気分よく店に入ったというのに、ぶちこわしであった。
店:可
ラーメン:不可
さて、そろそろ書くのも疲れてきたし、読者各位も一気に読むのも大変だろうから、ここらで一度打つのをやめようと思う。いずれまた、レポートを書こう。
追記:天下一品は、よい店に当たりこってりを注文すれば、それなりによい意味で驚きのあるラーメン体験をすることができる。しかし間違っても二食連続「こってり」を食べたりしないように。お腹を壊すか、胸焼けするかのどちらかである。経験者は語る。