学問の小部屋

ここは学問の黒板です。

僕は日本のゲーム音楽はひとつのジャンルを形成するくらいの力を持つ素晴らしいものだと思っています。

ファミコン黎明期では本来和音を構成するのに必要な三つの音を出すことができずどうにかして2音+ノイズ音(プッ、という音)で音楽を作り上げる必要があり、この努力は並大抵のものではありませんでした。
未だ音源のトラック数がハード的に不自由であった、FC(NES)、SFCSNES)の時代のゲームで、振り返ってみるとすごい曲が揃っていたのだなあと思うものを挙げてみます。

ドラえもん ギガゾンビの逆襲(FC)
元々ドラえもん好きが高じて小学生のころに購入したこの作品には、地味ながらも優秀な音楽が収められています。特に地底世界のフィールド音楽は世間的評価も高いようです。魔王(ジャスラック
管理下でないので、ネット上を探せばmidiも見つかります。ゲームをやっていたときにはなんとなく耳に残るという程度でしか把握していなかったのが、最近になってこういう部分が音楽観の下地になっていったのだなあと思いました。

ドラゴンクエスト
言わずと知れたFCの大傑作、改めてFC版を聴いたのは大学生になってから。作曲したすぎやまこういちさんはオーケストラでの編成を重視しながら、クラシックの要素を多分に含めるという意図で作曲されたようです。例えば「ラダトーム城」のメロディはベートーベンの交響曲第三番「英雄」(選択がなるほど、という感じ)の三楽章に登場しますし、「竜王」なんて、交響組曲版はバルトークピチカートから始まります
ちなみにDQⅣはチャイコフスキー交響曲四番を意識して作られたと思われます。
ファミコンの2音しか出ないという制限の下、よくここまで音楽を作り上げたものです。
2音で和音を表現するにはアルペジオを使うことが多いです。(ドミソドミソ、とか)
しかし、教会の音楽などゆったりした曲でそれはできないので、二音だけで和音を表現しようとした努力の跡をそこかしらに見受けることができます。

ファイナルファンタジー
FC版のFFを始めたのは大学生になってから、作曲の植松伸夫さんはとにかくメロディを重視する方のようです。
どこか日本歌曲的な雰囲気の中、子供にもわかるメロディをと考えて作ったのだろうと思われる曲が多数。

・ロマンシング サ・ガ
SFCを購入して最初に買ったのがこれ、SFCってこんな音がするのか、と普通に壮大な音楽を流して聴いてきたら、実はとんでもなくすごい曲だったのですね。やはり、「オープニング」でしょう。

シムシティ
どこかクラシック的な雰囲気がある(吹奏楽的?)、大人向けの音楽です。
「キャピタル」、「ビレッジ」、「タウン」が特に印象的です。

・・・と、軽く思い浮かぶ作品を並べてみても、特に意識することがなかったにしろ、秀逸な音楽が収められている作品に触れていたのだなあと改めて思います。
周りには沢山の音楽的素養を育てる環境があったのに、自分は何をやっていたのやら。