学問の小部屋

ここは学問の黒板です。

三つ子の魂

作曲家の作風というものは、大概ひとつの楽器(群)のイメージに帰着するものである。何人かの作曲家についてそれらを列挙してみよう。人選にはいささか偏りがあるものの、摂動の範囲である。

超絶技巧ギターのイメージがあるものの、実はデビュー当時はこうせつの方がギターが上手かったらしい。元々コーラス部出身なので、それをルーツにした美しい高音の響きを活かした代表的フォーク…と言いたいところながら、本当にやりたかったのはシティポップス路線と思われる。近いスタイルとしては小田和正荒井由美。復帰後の歌い方は残念無念、何かあったのかな。
一言でいえば、正やん最高!

実家がお寺だからなのか何なのか、きわめて日本的なサウンドを重視する傾向あり。フォークを始めていなかったら民謡か演歌をやっていたのでは。

幼少の頃からヴァイオリンを続けているとはいえ、あまりクラシック臭くはない。むしろ、昔のスタイルはフォークの皮を被ったヴァイオリン小品、中期のスタイルはフォークの皮を被った落語、今のスタイルはフォークの皮を被った爺さまの説教。

頭のてっぺんからつま先までピアノが大好きな人。日本のサティ。

稀代の劇伴・アニソン職人。どういうわけか力強いストリングスが…などと紹介されるときがあるものの、根底に流れているのはブラスの響き。

非常に頭がよいため計算づくで音楽を作れる人。それは趣味を実践するためであったり、商品として売り出すためだったりと様々。師匠はベートーベンというよりはドヴォルザーク。クラシックで育ったはずなのに楽譜の書き方は吹奏楽で、その真骨頂は金管のファンファーレ。

100年残る変態旋律ピアニスト。何でもできるのは、どんなジャンルの作品も自分流に噛み砕いてそれに合わせるふりをするのが上手いから。

ピアノよりはシンセサイザーが似合うベートーベンの弟子。

現代的な、きわめて現代的なロックミュージシャン。今までの音楽をよくよく勉強した上で自分のサウンドを作り上げる優秀な人。

あなたは音楽がやりたかったのですか、それとも言葉を紡ぎたかったのですか。それでも、あなたの人生は他の多くのマスコミ記者よりも素晴らしい。


また誰かについて書くかもね。