学問の小部屋

ここは学問の黒板です。

このところ、音楽について考えることが多いです。

さてさて、今回は音楽とは何かについて。
よい音楽、美しい音楽、つまらない音楽、水上の音楽、音楽って一体何でしょう?
生演奏と録音再生は違うのか?
良い演奏と悪い演奏とは?
音楽にまつわる要素を列挙してみます。

・まず、音楽技術

1.ダイナミックレンジが広い(大きくすべきところは大きく、小さくすべきところは小さいメリハリのある演奏)
2.音程がよい
3.音楽的なテクニックによってダイナミックさや繊細さといった感情に訴える要素がある
4.複数の音を組み合わせることによるハーモニーの美しさ

・次に、音楽に対する思い入れ

1.メロディラインを美しいと感じる
2.心踊るリズム
3.好きな演奏家が歌っている、演奏している
4.他のものにはない、何らかのそれ固有の魅力

・音の要素以外に対する感情

1.自分の身内が演奏しているなど、視覚的、認識学的な情報
2.「この演奏家はうまい」という思い込み
3.見た目の効果


といったものがあるわけです。
著名な楽団の演奏なら万人が感動するわけではないし、同じ演奏を聴いてどんな感想を持つかはその人の自由であるべきです。
すなわち、音楽とは感動です。音楽に限ったことはない、美術でも料理でも同じことで、そこに何らかの感動を生むものを、芸術と呼びます。
これは最終的に科学的な論理を適用すべき範疇ではなく、すべて解釈の問題なので、何をよいと思っても自由なのです。
或る人がダメだと言った演奏に魅力を感じる人がいてもいいし、僕みたいにmidiをやっている人間はコンピュータ・ミュージックにも感動することでしょう。(もちろん、そう考えない人がいてもいい。ただし、自分の解釈による価値観を他人に押し付けるのは人権の侵害である。)
人は、上に挙げたような要素の掛け算で感動します。
たとえ演奏が下手でも、そこに何か光るものを感じ取り、その影響が支配的になれば人は感動するであろうし、(こういうのを、「ミューズが降りる」と呼ぶ)メロディが気に入らない曲であっても演奏次第で人を感動させることができることもあります。

故に、とある演奏を開始する際に人為的に変えるられる要素の見た目と技術とは、感動を増幅するのものであり、それだけで全てを語ってよいわけではない、もちろん良いに越したことはない。

はっきりと悪い演奏と呼べるものをいくつか:
・聴く人を意識していないもの
演奏家の意思として何がやりたいのかわからないもの
・聴く人のためにならないもの


音楽とは、音という道具を使うことによって人を感動させるための手段
と定義できます。